老齢基礎年金
◆ 老齢基礎年金の年金額(平成22年度)
加入可能年数が40年の場合
老齢基礎年金の年金額 = 792,100円
国民年金制度が発足したのは昭和36年4月1日ですので、その日に20歳以上の方(昭和16年4月1日以前に生まれた人)は、60歳に達するまでの間に40年の加入期間を満たすことができません。そこで昭和36年4月1日から60歳に達するまでの期間(加入可能年数)についてすべての保険料が納付されている場合は、792,100円(22年度)の年金が支給されます。
生年月日 |
加入可能年数 |
大正15年4月2日 〜 昭和02年4月1日 |
25年(300月) |
昭和02年4月2日 〜 昭和03年4月1日 |
26年(312月) |
昭和03年4月2日 〜 昭和04年4月1日 |
27年(324月) |
昭和04年4月2日 〜 昭和05年4月1日 |
28年(336月) |
昭和05年4月2日 〜 昭和06年4月1日 |
29年(348月) |
昭和06年4月2日 〜 昭和07年4月1日 |
30年(360月) |
昭和07年4月2日 〜 昭和08年4月1日 |
31年(372月) |
昭和08年4月2日 〜 昭和09年4月1日 |
32年(384月) |
昭和09年4月2日 〜 昭和10年4月1日 |
33年(396月) |
昭和10年4月2日 〜 昭和11年4月1日 |
34年(408月) |
昭和11年4月2日 〜 昭和12年4月1日 |
35年(420月) |
昭和12年4月2日 〜 昭和13年4月1日 |
36年(432月) |
昭和13年4月2日 〜 昭和14年4月1日 |
37年(444月) |
昭和14年4月2日 〜 昭和15年4月1日 |
38年(456月) |
昭和15年4月2日 〜 昭和16年4月1日 |
39年(468月) |
昭和15年4月2日 〜 昭和16年4月1日 |
40年(480月) |
◆ 老齢基礎年金の計算式
792,100円×(保険料納付済月数 )+( 保険免除月数)・・免除の種類により率を掛けた月数
加入可能年数×12 |
◆ 老齢基礎年金の繰上げ支給と繰り下げ支給
・繰上げ支給とは
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人は、60歳以上65歳未満の希望するときから、老齢基礎年金を繰り上げて受けることができます。
この場合の老齢基礎年金は、請求書が受理された日の属する月の翌月から支給開始されます。
・繰上げ支給による年金額
(1)昭和16年4月1日以前生まれの方の場合
昭和16年4月1日以前に生まれた方については、支給の繰上げを請求した時の年齢に応じて次の割合で計算した額が支給されます。
年 齢 |
支給率 |
60歳以上61歳未満 |
58% |
61歳以上62歳未満 |
65% |
62歳以上63歳未満 |
72% |
63歳以上64歳未満 |
80% |
64歳以上65歳未満 |
89% |
(2)昭和16年4月2日以後生まれの方の場合
昭和16年4月2日以後に生まれた方については、月単位で減額が行われ、次の式のように、支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に到達する日の属する月の前月までの月数に応じて、0.5%刻みで減額率が決まります。
減額率 =(繰上げ請求月から65歳到達の前月までの月数)×0.5%
年齢 |
支給率 |
60歳 |
70% |
61歳 |
76% |
62歳 |
82% |
63歳 |
88% |
64歳 |
94% |
・繰り上げて請求するときの注意点
- 繰上げをした老齢基礎年金を取り消すことはできません。また、一度決まった減額率は、一生変わりません。
- 繰上げの老齢基礎年金を請求した日以後に、障害等級に該当した場合でも、障害基礎年金を請求することはできません。
- 遺族厚生年金と繰上げの老齢基礎年金とは、65歳までは、どちらかひとつしか年金を受けられません。万一、繰上げ請求をした後に、夫が死亡したときなどの場合は、繰上げの老齢基礎年金より遺族厚生年金が多い場合は、繰上げの老齢基礎年金は65歳まで停止となり、65歳以降は遺族厚生年金と併給されますが減額された率での支給になります。
- 繰上げの老齢基礎年金を請求した日以後は、寡婦年金の請求はできません。また、すでに寡婦年金を受給されている方についても、寡婦年金の権利が失われます。
・繰下げ支給とは
65歳に達するまでに老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている人が、66歳に達する前に裁定請求を行わなかった場合、66歳以後の希望するときから老齢基礎年金の支給の繰り下げを申し出ることができます。
(受給開始年齢により一定の率で増額されます。)
・繰下げ支給による年金額
(1)昭和16年4月1日以前生まれの方の場合
昭和16年4月1日以前に生まれた方については、支給の繰下げを請求した時の年齢に応じて次の割合で計算した額が加算されます。
増額率
請求時年齢 |
増額率 |
66歳 |
112% |
67歳 |
126% |
68歳 |
143% |
69歳 |
164% |
70歳 |
188% |
(2)昭和16年4月2日以後生まれの方の場合
昭和16年4月2日以後に生まれた方については、月単位で加算が行われ、次の表のとおりになります。
増額率
請求時年齢 |
増額率 |
66歳各月により |
108.4%〜116.1% |
67歳各月により |
116.8%〜124.5% |
68歳各月により |
125.2%〜132.9% |
69歳各月により |
133.6%〜141.3% |
70歳 |
142.0% |
※繰下げの請求を行う月によって増額率は異なり、65歳になった月から繰下げの申出を行った月の前日までの月数に応じて1ヵ月増すごとに0.7%ずつ高くなります。
◆ 振替加算
振替加算とは、厚生年金、共済組合の配偶者加給年金額の対象となっている人のうち、昭和41年4月1日以前に生まれた人に支給される老齢基礎年金には、受給者の生年月日に応じて227,900円×(1〜0.067)が加算されます。
振替加算の対象となる妻(夫)は、通常、その妻(夫)が老齢基礎年金を受給する資格を得たとき(満65歳到達時)において、その夫(妻)が受けている年金の加給年金額の対象となっていた方です。(ただし、振替加算の対象となる妻(夫)は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた者に限ります。)
なお、妻(夫)が老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険または共済組合等の加入期間が240月未満のときに限ります。
◆ 付加年金
付加年金は、老齢基礎年金に上乗せする公的年金。
・付加年金の支給要件
付加年金は、付加保険料を納めた人が、老齢基礎年金の受給権を取得したときに、老齢基礎年金に加算して支給されます。
・付加保険料
付加保険料は、月額400円 です。
〈付加保険料を収めることができる人〉
・国民年金第1号被保険者(任意加入の人も含む)。
・保険料の納付免除を受けている人は加入できません。
・国民年金基金と両方同時に加入することはできません。
・付加年金の額
付加年金年額=200円×付加保険料納付済月数
老齢厚生年金
◆ 特別支給の老齢厚生年金
・特別支給の老齢厚生年金の年金額
特別支給の老齢厚生年金の年金額は、報酬比例部分と定額部分(加給年金を含む)をあわせた額で、生年月日が昭和16年4月2日以後生まれの男性、(女性は昭和21年4月2日以後生まれ)で、定額部分の支給開始年齢が61歳から64歳へと引上げらる人はその年齢まで報酬比例部分の額となります。
年金額 =(1)定額部分 +(2)報酬比例部分 +(3)加給年金
1)定額部分
1,628円×改定率×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数
ただし、上記の計算方法によって算出された定額部分の額が、次の式で計算した額を下回る場合には、次の式で計算した額が、定額部分の額となります。
【従前額保障】
1,676円×生年月日に応じた率×被保険者期間の月数×スライド率
※物価スライド率は、「1.000×0.985」です。
※男性40歳・女性35歳からの厚生年金の被保険者月数が180月(15年)以上240月(20年)未満の場合は、240月として計算します。
※定額部分の被保険者期間の月数は生年月日に応じて次の上限が設けられています。
生年月日 |
上限被保険者期間 |
昭和04年4月1日以前 |
35年(420月) |
昭和04年4月2日〜昭和09年4月1日 |
36年(432月) |
昭和09年4月2日〜昭和19年4月1日 |
37年(444月)) |
昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日 |
38年(456月) |
昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日 |
39年(468月) |
昭和21年4月2日〜 |
40年(480月) |
2)報酬比例部分
(1)平成15年3月までの加入期間だけの場合
平均標準報酬月額×(9.5/1000〜7.125/1000)×被保険者期間月数 |
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ただし、上記の計算方法によって算出された年金額が、次の式で計算した年金額を下回る場合には、次の式で計算した額が支給されます。
【従前額保障】
平均標準報酬月額×(10/1000〜7.5/1000)×被保険者期間月数×1.031×0.985 |
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) |
(2)平成15年4月以後の加入期間の報酬比例部分の計算
平均標準報酬額×(7.308/1000〜6.481/1000)×被保険者期間の月数 |
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) |
ただし、上記の計算方法によって算出された年金額が、次の式で計算した年金額を下回る場合には、次の式で計算した額が支給されます。
【従前額保障】
平均標準報酬額×(7.692/1000〜6.769/1000)×被保険者期間月数×1.001 |
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※平均標準報酬額とは、平成15年4月以後の被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で除して得た額(賞与を含めた平均月収)のことです。
(3)平成15年3月以前と4月以後の加入期間がある場合
平成15年4月以後に初めて就職して厚生年金に加入した方の報酬比例部分は、上の(2)の算式だけで計算できますが、それ以外の、ほとんどの方の場合、平成15年3月以前と4月以後の厚生年金加入期間を有することになります。その場合の報酬比例部分の計算は複雑で、平成15年3月以前と4月以後の期間についてそれぞれ計算した上で合算することになります。
平成15年3月以前【上記(1)】+ 平成15年4月以降【上記(2)】
3)加給年金(定額部分が加算される場合に限る)
厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢の特例を受ける人は15年〜19年)ある人が、初めて定額部分の支給を受けるとき,年金を受ける人によって生計を維持している65歳未満の配偶者、18歳到達年度の末日までの間にある子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいるときは、次の加給年金額が加算されます。 <加給年金の額>
加算対象者 |
加給年金額 |
配偶者 |
227,900円 |
子供1人 |
227,900円 |
子供2人 |
455,800円 |
子供3人以上 |
1人増すごとに75,900円を加算 |
※加給年金の対象となっている配偶者が、老齢(退職)年金(加入期間が20年以上の場合)や障害年金を受けている場合は、加給年金は停止されます。
老齢厚生年金または特別支給の老齢厚生年金を受けている人が昭和9年4月2日以降の生まれの場合は、生年月日に応じて配偶者の加給年金額に特別加算があります。
生年月日 |
特別加算額 |
加給年金額の合計 |
昭和09年4月2日〜昭和15年4月1日 |
33,600円 |
261,500円 |
昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日 |
67,300円 |
295,200円 |
昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日 |
101,000円 |
328,900円 |
昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日 |
134,600円 |
362,500円 |
昭和18年4月2日以後 |
168,100円 |
396,000円 |
〈加給年金の減額事由〉
加給年金額の対象者が、次のいずれかに該当したときは、その人は加給年金額の対象者とならなくなり、該当した月の翌月から年金額が減額されます。
- 死亡したとき
- 受給権者による生計維持の状態がやんだとき
- 配偶者が離婚したとき
- 配偶者が65歳に達したとき(大正15年4月1日以前生まれの配偶者を除く)
- 子が養子縁組によって受給権者の配偶者以外の人の養子となったとき
- 養子が離縁したとき
- 子が婚姻したとき
- 子が18歳到達年度の末日が終了したとき(1級または2級の障害の状態にあるときを除く)
- 子が18歳到達年度の末日が終了した後、1級または2級の障害の状態に該当しなくなったとき
- 子が20歳に達したとき
- 配偶者が加入期間が20年以上(中高齢の期間短縮の特例15年〜19年などに該当する場合は、その期間)の老齢厚生年金や退職共済年金、障害年金などを受けられるようになったとき。
◆ 老齢厚生年金の繰下げ制度
・老齢厚生年金の受給権を有する者であって、受給権発生後1年を経過した時点で老齢厚生年金の請求をしていなかったものは、老齢厚生年金の支給繰下げの申し出をすることができる。(施行日前に老齢厚生年金の受給権を有している人は対象外)
・繰下げた場合、以下の計算式で、増加加算が行われる
繰下げ加算額=(繰下げ対象額+経過的加算)×増額率
※増額率は 1月0.7% × 繰下げ月数(繰下げ月数は60月を上限)
在職老齢年金 (平成22年度)
◆ 在職老齢年金(60歳台前半)
(1)総報酬月額相当額
=その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額÷12
(2)基本月額=老齢厚生年金の年金額÷12
(*加給年金額は除きます)
報酬月額相当額+基本月額の合計額が
(1)28万円以下のとき⇒老齢厚生年金は全額支給されます。
(2)28万円を超えるときは[1]〜[4]の場合に応じて、
次の額が支給停止されます。
【1ヶ月あたりの支給停止額を求める計算式】
基本月額28万円以下 |
[1] |
総報酬月額相当額が 47万円以下 |
(総報酬月額相当額+基本月額−28万円)× |
1 |
 |
2 |
|
|
[2] |
総報酬月額相当額が 47万円を超える |
(47万円+基本月額−28万円)× |
1 |
 |
2 |
|
+総報酬月額相当額−47万円 |
|
 |
基本月額が28万円を超える |
[3] |
総報酬月額相当額が 47万円以下 |
総報酬月額相当額× |
1 |
 |
2 |
|
|
[4] |
総報酬月額相当額が 47万円を超える |
(47万円× |
1 |
 |
2 |
|
) |
|
※ この表の見方は、たとえば年金月額が100,000円で総報酬月額相当額が260,000円の場合、早見表により支給される年金月額は、60,000円となります。支給停止額が在職老齢年金を上回るときは、在職老齢年金は全額支給停止になります。
※ 在職老齢年金は全額支給停止となったときは、加給年金額も支給停止となります。
※ 厚生年金基金に加入されたことのある方は、基金の年金(代行部分)も含めて支給停止額を計算することとなります。
※ 下記の表は、実際の支給額とは異なる場合があります。
◆ 在職老齢年金(60歳台後半)
(1)総報酬月額相当額+(2)基本月額の合計額が
・47万円以下の場合は⇒老齢厚生年金は全額支給されます
・47万円を超える場合は
⇒その超えた額の2分の1の老齢厚生年金が支給停止されます。
1ヶ月当たり支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額−47万円)×1/2 |
|
※ 老齢基礎年金は全額支給されます。
※ 加給年金額が加算されている老齢厚生年金の場合、支給停止は、加給年金額を除いた老齢厚生年金の本体部分の年金額に基づいて行われます。
※ 経過的加算が加算されている場合は、経過的加算についても在職老齢年金による支給の調整はされません。
※ 平成19年4月以降は70歳以上の在職者についても65歳以上の在職老齢年金の基準により年金の一部または全部が支給停止されます。なお、施行日において70歳以上の人(昭和12年4月1日生まれの人)は対象外です。